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幻月

Phantom Moon
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出会い
全寮制の高校

好きでもないバイオリン

適度に遊べる女

単調な毎日



退屈は人を殺すと言うが、それなら俺はもう死人と同じ





脳みそが常温で溶けていく




幻月 -1-




昨日更新したばかりの真夏の熱波が押寄せる
開かれた窓から時折差込む風は、部屋の中の熱気を渦巻き、清涼さのかけらも見せずに通り過ぎた
自然風を好む母親と、この家で唯一クーラーがついているリビングのソファで、半ば死んでいる少年がぼそりとつぶやく

「・・・・夏休み、忘れてた」

何のために寮に入ったのだと、思い出そうとしたが溶けた脳は鈍く反応を返すだけだった
ちらりと目線を送るとキャミソールに薄いストールをかけた自称有閑マダムが、最近はまりだしたという少年漫画を読んでいた
一縷の望みを託して声を出してみる

「クーラー、つけたいんだけど」

「喉痛たくなるから厭」

そう言われたら仕方がない、それでお仕舞だ
フローリングについている片足だけがほんのりと冷たい
コンビニに行くにも、行きと帰り道を考えると足が重い
あまりに腐っている俺を不憫に思ったのか、彼女は隣の部屋から扇風機を持ってきてくれた

ふと、電話が鳴る

「巧郎出て」

「なんで俺が」

「出て」

良いところなの、と漫画を食入るように見るのは絶対に三十路を越えた女ではない
女子高生かよ、と頭の中で毒づきながら仕方なく立上がる

「だれ?」

『へ?あっ・・・磯?』

「違うけど」

『えっ!?』

「じゃ」

かちゃりと受話器を置くと誰だったー?と間延びした声が聞えた
案の定こちらを見ることなく目線は未だ手元の漫画だ

「しらねえ、磯かって聞かれた」

ふと、母親の動きが止る
そして次の瞬間持っていた漫画が投げつけられた
避けられずに顔面でそれを受ける

「ぶっ」

「馬鹿息子が、あたしの旧姓わすれたの?」

「・・・・・あ」

二度手間じゃない、と愚痴を言いながら着信履歴でかけ直す
だったら最初からお前が出ろよ、と思ったがめんどくさくなってやめた
ソファに戻り再び扇風機の風を受けると、自然と瞼が降りてきた

「あっなお?どうしたの?」




眠る瞬間に、声を聞いた気がした






後書
巧郎くんをより良く具体化するために書いてみた作品
この後、いろいろごたごたがある予定です

作中にでてくるなおは実在する人物ですたい
| 話 −幻月− | 19:57 | comments(0) | trackbacks(2) |
数日後、俺はなぜか母親と某有名弦楽団のコンサートに行くことになっていた

相変らずの猛暑


あぁあんなモノにつられなければよかった




幻月 -2-



開演前のホールは本来涼しいはずの空気が人で暖められて正直言って不快だった
ただでさえ人混みが嫌いなのだ、もう少し遅れてくれば良かったと思う

「うざっ・・・」

「結構有名処なんだから仕方ないでしょ」

そう言ってきょろきょろ母親は当りを見渡す
多分今回チケットを譲ってくれる友達を捜しているのだろう
俺も小さいときに会っているらしいが如何せん記憶がない
というか弦楽器のコンサートであってさすがに俺の事を分る人が居るのだろう
さっきからちらちらと視線を感じる

「あっいた、なおー!!」

ふわりと母親が飛出し、背の高い髪の長い女の元に走った
その後ろを格段急ぐ分けでもなくついて行く

「久しぶりだねー元気だった!?」

「当り前でしょ、あれ?もう一人は?」

「あっちょっと待ってね、巧早く!」

「はいはい」

近くまで寄った結果、一瞬長身女の周りが止った

「かわい・・・」

「うるせぇ貧乳」

開口一番にそれかよ
コンプレックスをつかれたので、こちらも応戦
と、全く無防備な後頭部に衝撃が走った
鈍器で殴られたような感覚に、意識の飛びそうになるが何とか足を踏ん張って耐える
目線の先には床に転がる(中身入)缶ジュース
振返ると仁王立ちした少女が今にも射抜かんばかりの視線を送っていた

「ちょっ樹和なにやってんの!?」

「むかつく」

さっきの鬼のような形相から一転して今度はふくれた子供のような表情を浮べる

「・・・シスコン」

「なによ!」

「本当の事いったまで・・・」

がつん、と今度はこぶの上からげんこつが下ろされる
今度はさすがに星が飛ぶ

「なにすんだよ!母さん!」

「あやまんなさい」

「俺は悪くな・・・」

「謝れっつってんのよ」

もう一発殴るわよ?と言われて渋々悪かったと言うと
分ればいいのよ、と樹和と呼ばれた少女は会場のドアに続く階段を登っていった

「最悪、俺もう帰る」

「誰が帰すか馬鹿息子」

びんっと首根っこを捕まれて捕獲されてしまう
そのままずるずると高校一年の男子を彼女は引きずった

「なっ離せ」

「いやよ、最低でも謝って貰うまではね」

「謝っただろ」

「あんたじゃないわよ」

そう言うとぱっと引張る力が消える
そっと、手を添えられたのは先刻の後頭部

「あたしだっておこってんの」

だったら殴るなよ、と思いながら



母は強しというやつか、とぼんやりと思い出した





後書
中身入のジュースは投げてはいけません
下手したら死にます
ちなみに実際私となおは同い年なのですが
人形の年齢設定が私は息子で16歳、なおは妹で15歳なのでちょっと無理があります
あたしが21で巧を産んでても、なおのお母さんは○○歳で樹和ちゃん産んだことに

・・・まっ深く考えずに行きましょう
| 話 −幻月− | 06:43 | comments(0) | trackbacks(0) |

ひやりと冷たいハンカチが後頭部を濡らす


左から加齢臭のする品のない男の息づかいが聞える


音楽会で寝ないようにするのは、周りを観察するのが一番いい




幻月 -3-



得てして音楽会を見に来る奴というのは自称評論家と不眠症患者、出演者の家族、その友達なんかが大半だ
まぁ演奏者も自己満足が多いからなんとも言えない
さすがに有名な音楽団だ、音の狂いはさほどない
ライトの性で弦楽器の音が若干緩んできたが、それでも聞くには耐えうるだろう
だが今の俺には絶えず耳に入ってくる音、そんなモノ関係ない


なんで俺がこのひねくれ貧乳女の隣に座らなきゃいけない


事の始りは数十分前
会場入が遅れたせいか、きちんと4つ席が空いていたのは幸か不幸か一カ所しかなく
きつい臭いが苦手な俺を考えたのか母親が奥に座っていた香水のきついおばさんの隣に座り、母さんがだだをこねて「なおはあたしのとなり」とかいって隣を長身貧乳髪長女にして、その隣が俺になると必然的に品のない親父の隣に奴が座ることになるからと怪力女が座ったのがいけなかった
母さんが長身貧乳女の手を取った瞬間に怪力女の顔つきが変った

「おねえちゃん席変って」

「うーん・・・磯、樹和が・・・」

「うん、ダメ」

「ごめん樹和」

「おねえちゃん」

「・・・・磯ぉ」

「ダメ」

とまぁ、こんな感じで押し問答していたがブザーが鳴ったので渋々今の席に落着いたわけだ
ちなみに最後の方で貧乳女は泣きそうになってた
俺だっていっその事帰りたいが、今帰ると女三人、さらに電車に滅多に乗らない母親が駅で迷子になるのは目に見えている(此処に来るまでもかなり苦労した)ため帰りたくても帰れない
しかも今帰ったら怪力女がはじになるわけで
さっきから後ろのほうでちらちら怪力女を噂してる男の声も聞えるわけで
さすがに危ないんじゃないかとも思う

「ちょっと」

「・・・なんだよ」

「こっちの肘掛は私のなの」

「は?」

肘掛・・・あぁ両方使いたいわけね
別にどうだっていいからするりと右の肘掛を開けて反対側に肘をつく

「どうぞ?」

勝手に使えば?と言うと
一瞬怪力女はあっけにとられたような顔をしたあと真っ赤になった
しかもだからと言って使わないと、子供扱された自分が恥ずかしくなって使わないという事を証明してしまうから、意地でも使ってやると言った顔だ
なんていうか、子供みたいだ
自然と口が上がる、それをみて又怪力女が逆上するのは分っているがやらずには居られなかった
案の定パンフレットが投げられた
やばい、この女おもしろすぎる
ふと視線に不快なモノが入る
俺があからさまに厭そうな顔をしてじろりと隣を睨むと、びくりと後ろから伸びてきた手が引込められた
多分怪力女に声をかけようとしていたのだろう

ふと、右から視線を感じる

「・・・・なに?」

「・・・べつになんでもない」

ふぃっと顔をそらされるが、母親と貧乳女は意味が分ったのかクスクス(訂正母親はにやにや)笑っていた
無性に腹がたつ

「何だよ」

「さぁ?」

意味わかんねぇとがりがり頭を掻いていると、ライトが絞られて段幕が上がった
指揮者の入場で周りから拍手が湧く
拍手の鳴り響く中でそれはあまりに小さく告げられた




「・・・ありがと」



とりあえず俺は聞えないふりをした







後書
ちなみにたっくんは天然、母親のレディーファーストは計算
| 話 −幻月− | 17:59 | comments(0) | trackbacks(0) |
電子

とりあえず約束の珈琲豆を買って



母親と貧乳女は喜々としてショッピングを始めていた



というか振回されていた





幻月 -4-




あのパワーにはついて行きたくないので、仕方なく近くの公園で荷物の番をすることにした
怪力女もあまり体力がないのか、暑さのせいか、木陰のベンチに二人で座ることになった
マナーモードの振動が嫌いなので、演奏中は切っていた携帯の電源を入れる
母親と連絡が取れるようにしておかないとさすがにまずい

が、おれは電源を入れたことを後悔する事になる

ピピピッピピピッピピピッピピピッピピピッピ・・・・・
電源を入れた途端にこれだ、ウィンドウを確認すると知らない番号が羅列されている
またか、と思い開いた途端に通話を切る
切ったと思えば又電話が掛ってきて、それも切る
今度は別の番号だったが、それも切る
さすがにうるさいのか、厭そうな顔で貧乳女が言った

「出なくて良いの?」

「出てもどうせ知らない女からだ」

何処でばれるのか分らないが、最近この手の電話が後を絶たない

「ふーん、遊び人なんだ」

「・・・・・」

ピピピッ・・・
ピッと電源を切るとばきりと携帯を折ってゴミ箱に捨てた

「満足?」

「・・・・・しんじらんない」

「俺の番号売られてんだよ、こっちが迷惑」

さて、これで電話が使えなくなってしまったが、別段気にすることはない
どうせこの女の方に電話が掛ってくるだろう

「そっちの電源入れといてくれない?」

「・・・・・ないもん」

「・・・・・携帯もってねぇの?」

こくりと怪力女が頷く、あーしまった、確認取ってから折れば良かった

「・・・・仕方ねぇか、買いに行くぞ」

「え?」

「母さんの番号なら覚えてるし、こっちにあればいいんだろ」

目の前にはかったかのように携帯ショップもあることだし
俺の携帯も結構古かったからいいか、なんて後付だけれども理由をつける
寮生活で使わないお小遣もあるからかなり金はある
めんどくさいが荷物を全部もって(死ぬほど重いが顔には出さないようにして)店に向う
数歩歩いて怪力女が付いてこないことに気が付いて振返る
顔だけは良いみたいだから、置いていくのはまずいだろう

「置いてくぞ」

店の中の方が涼しくていいんじゃねぇの?
そう付け足すと、本当に厭そうな顔をして立上がった

「・・・馬鹿じゃないの?」



とりあえず新しい携帯に一件、新しいアドレスが登録された






後書
いきなり仲が良くなってます、厭ですもっとちょっとずつ仲良くなって欲しいのに
なのでいろいろ樹和ちゃんの天然ぶりで振回して貰いましょう

飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで回って回って回っておち〜る〜

樹和ちゃんは本HPでは最初から携帯持ってますが、ちょっと変えちゃいました
| 話 −幻月− | 19:28 | comments(0) | trackbacks(0) |