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幻月

Phantom Moon
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合歓
合歓木が好きだとその人は言った。
僕はこれは合歓という木なのですかとその人に言うと、えぇそうですよ、かあいらしい花でございましょうとその人はゆったり、笑う。
笑うとその人は頬にえくぼが出来る、細い首のうなじ美人で、折れそうな身体をしているのに、そのえくぼだけは幸せそうである。


合歓木


その人は続に言う未亡人である。
未亡人という言葉はあまりいい意味ではないのだから、本人を前に言うものではありませんと、優しく言われたのが記憶に新しいが、それ以外表す言葉を知らないから、そういわれれば、だんなさんが、無くなった、奥様、という方が正しいのかもしれない。
庭に合歓木があった、すぐ伸びてしまうのといいながらぱちりぱちりと剪定した先から彼女は拾っていった、白い手、細い手首、あぁうなじまで細い。

合歓の花は、白から薄桃色へのグラデーションでもって、細い線がふわりと、毛玉のようにして咲いている、変わった形の花である。


私は、この木が好きです。


その人はそういってその枝に手を、その花に指を伸ばしたのは去年の秋、台風前の庭の整備で、人が多いそんな時だった。
ぽつりと、こぼすようにそういったのが印象的で、僕はこれは合歓という木なのですか、とそんなことを聞いた気がする。よく庭に出ているくせにこういうことは大変疎いのだ、だからかどうか分からないが、その人はえぇと笑って、かあいらしい花でございましょうと、恥ずかしいが自分が言った言葉は覚えていないくせに、彼女の言葉は良く覚えている、そう確かにそういっていた、かあいらしい花でございましょう。
その言葉のせいで、この花はかあいらしい花なのだ、と頭の中に記憶された、これはかあいらしい花。確かにかあいらしい毛玉のような花ですねというと、ころころと鈴が震えるようにわらわれた、毛玉と称したのがいけなかったらしい。

部屋に戻って、ふと興味がでたから辞書を一本持ってきて、未亡人という言葉を引いてみた。夫が死んでもなおおめおめと生き残っている妻という意味があると知った。
おめおめとは酷い言葉だと思った。
あの細い身体、白い腕の、あの人におめおめ、それは確かに頂けない、他に引くと寡婦という言葉が出てきた、あの人は寡婦、未亡人ではない。
しかしまたこれにも弊害があって、あの人とだんな様の間には子供がいないのだから、適用されるのかいまいち分からない。
あまり頭が良くないのに、そういうことは考えるだけムダである。早々に辞書を閉じる。

かあいらしい花でしょう、彼女はそういって笑ったのである。

その白い手、細い腕、またその首、身体、そして笑うときに出来る小さなえくぼ。
全てが薄幸そうだというのにそのえくぼだけは幸せそうである。
合歓木を見るその眼は、優しくすぼめられている。

あの人が好きだと思う、あの人が好きだ、そしてそれはとても幸せなことだ。
あの人は未亡人ではない、死んだだんな様のものではない、自由であればいい、可愛そうな美しい人、僕にとってたった一人の、女。
それだけで十分なのだ、頭を使って考えるまでも無い。
奥様、と口の中で言葉を作ると、それだけで幸せになれた。

奥様、奥様、僕がもし、剪定した合歓木を地に落とさずに手渡したら、貴方は受け取ってくださるでしょうか。

かあいらしい花だと、笑ってくださるでしょうか。
それとも意味を受け取ってくださるでしょうか。
そのどちらでも構わないのです、奥様、奥様、好きです、好きなのです、貴方が。

外では風が強く吹いている、納戸ががたがたとなっている。
合歓木は落ちてしまっただろうか、合歓の花は、あの人は。


僕は・・・
あとがき
花シリーズ【合歓木】ネムノキ  花言葉は歓喜

一人称を変えて書いてみるべと思った。
僕を一人称にしたら見事変態くさくなった【合歓木】万歳!


合歓の木はとても好きな花です、が意味はちょっと意味深。

1 ともに喜び楽しむこと。
2 男女が共寝すること。同衾(どうきん)。
3 「合歓木」の略。

・・・・・へんたいっぽ
| 話 −花−* | 11:50 | comments(0) | - |
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